エンタメ・インタビュー

富本惣昭、意識したオフ・ザ・ボールでの佇まい 実写映画『ブルーロック』撮影の裏側

富本惣昭
(更新日:

 俳優・富本惣昭が、実写映画『ブルーロック』(公開中)に出演する。富本は、チームYの司令塔・二子一揮を演じる。累計発行部数6,000万部を突破の大人気コミックスの実写化において、冷静な分析力で潔世一たちの前に立ちはだかる難役に抜擢されたのが彼だ。原宿の竹下通りでのスカウトをきっかけに芸能界入りした富本は、ミュージカル『テニスの王子様』4thシーズンの菊丸英二役で大きな注目を集めた。その後もドラマ『君とゆきて咲く~新選組青春録~』や舞台『飛龍伝』など、映像・舞台の垣根を越えて話題作への出演が続いている。「出演が決まる前から1人の読者として大好きだった」と語る『ブルーロック』への熱量は凄まじい。8年間に及ぶサッカー経験を、この一世一代の役柄にどう注ぎ込んだのか。役者としての熱い向上心と、撮影現場で目撃した“リアル・ブルーロック”撮影の裏側に迫った。(取材・撮影=村上順一)

 

『ブルーロック』は今までにない描き方が衝撃的

二子一揮(富本惣昭)©金城宗幸・ノ村優介/講談社 ©CK WORKS

 ――映画への出演は2回目です。実写映画『ブルーロック』への出演が決まった時の心境はいかがでしたか。

 今回メインキャストとして、それも「二子一揮」という重要な役をいただけて、本当に嬉しかったです。過去映画の現場に参加したことはありますが、今回がほぼ「初映画」のような感覚で、僕にとって非常に記念すべき作品になりました。

 ――原作のファンでもあったとのことですが、初めて『ブルーロック』を読んだ時の印象はどうでしたか?

 従来のサッカー漫画のような「チームのために戦う」という描き方ではなく、「自分のゴールのために戦う」という今までにない描き方が衝撃的でした。一人ひとりが持っている可能性を引き出していく過程は、僕が芸能界で戦っている身としても、すごく勇気づけられる作品だなと感じました。

 ――二子一揮というキャラクターを演じるにあたって、どのようなアプローチを考えましたか?

 二子は自分の感情をあまり表に出すタイプではありません。だからこそ、言葉ではなく、プレー中のフォームや視線、そして表情を通じてその内面を表現したいと考えました。特に二子は前髪で目が隠れているので、その隙間から見える視線だけで「何を考えているかわからない不気味さ」を出せるようこだわりました。

 ――富本さん自身、サッカーは長く経験されているんですよね。

 はい、小学校から8年間やっていました。ポジションはボランチと左サイドハーフでした。ボランチというポジションはフィールド全体を俯瞰する役割なので、二子のプレイスタイルにも通じる部分があり、そこはこれまでの経験が活きたかもしれません。

 ――撮影は経験者だからこその苦労もあったのではないでしょうか。

 「自分の癖を抜く」のが一番大変でした。長年やってきたからこそ染み付いている動きの癖があって、二子らしいフォームを作るためにそれを一度リセットしなければなりませんでした。一方で、ボールの扱い方など基礎的な部分は、経験者として納得してもらえる動きを意識しました。

 

意識したオフ・ザ・ボールでの佇まい

富本惣昭

 ――撮影現場の雰囲気はどうでしたか? サッカーシーンはかなり本格的だと伺っています。

 基本的にはボールを使って、自分たちの力技で撮影しています。皆さん、本番に向けて練習を積んできていて、その熱量は凄まじかったです。クランクインがちょうど潔たちのチームZと僕たちチームYの試合シーンだったのですが、キャスト同士で「こうした方がいいんじゃないか」と試行錯誤しながら作り上げていきました。

 ――他のキャストの方々とも、サッカーの話で盛り上がったのですか?

 はい。大川響鬼役の木田佳介さんと「オフ・ザ・ボール(ボールを持っていない時の動き)」の重要性について話しました。実はキャストの中には木田さんのようにユース出身の方など、とても上手い人たちがたくさんいらして、最初の練習会ではそのレベルの高さに圧倒されました。僕も8年やってきましたが、正直「経験者です」と言うのが恥ずかしくなるくらい、リアリティが追求された現場でした。

 ――主人公・潔世一を演じた、高橋文哉さんの印象はいかがでしたか?

 僕は高橋さん演じる潔と対峙するシーンが多かったのですが、高橋さんの「目で語る芝居」には本当に刺激を受けました。試合中はモノローグ(心の声)が多い作品なので、言葉を発さずに表情だけで感情を伝える必要があり、その難しさを共有しながらも、高橋さんの座長としての立ち振る舞いや、現場を明るくする姿は本当に素敵だなと感じていました。

 

テンションが上がったユニフォーム&特注のスパイク

富本惣昭

 ――衣装やセットについても、ファンにはたまらない再現度だとか。

 『ブルーロック』のスーツやユニフォームを着た時は、本当にテンションが上がりました。スパイクも一人ひとりのサイズを測って特注で作っていただいたもので、チームYのカラーである赤色に統一されていました。さらに「BLUE LOCK」と印字されたオリジナルのボールや、あの独特な空気感の中に身を置くと、自然と作品の世界観に入り込むことができました。

 ――撮影中に印象に残っているエピソードやハプニングなどはありましたか?

 大きなハプニングはなく順調でしたが、とにかく撮影が過酷だったので、皆さんの疲労が溜まっていくのは目に見えてわかりました。それでもカメラが回れば全員自分の“エゴ”を全開にして芝居に打ち込んでいました。個人的には、チームWの鰐間兄弟を演じた三浦獠太さんのゴールパフォーマンスや、引き出しの多いお芝居がとても面白いなと思いました。

 ――もし、二子以外の役を演じられるとしたら、誰に興味がありますか?

 主人公の潔世一です。常に自分をアップデートし、新しく生まれ変わっていく潔を演じる楽しさや、やり遂げた時の達成感は計り知れないだろうなと思います。あとは、自分にないものを持っている馬狼照英のようなストライカーにも憧れます。

 

やりたいことを探していた

富本惣昭

 ――富本さんご自身についても伺いたいのですが、俳優を志したきっかけは何だったのでしょうか。

 実は最初は役者になりたいと思っていたわけではなく、原宿の竹下通りでスカウトされたのがきっかけなんです。やりたいことを探していた時期だったので、思い切って飛び込んでみました。その後、ミュージカル『テニスの王子様』に出演させていただいた際、初日の拍手の温かさや、自分たちの表現がお客様に届いた瞬間の喜びを肌で感じ、そこからお芝居に対してより真剣に向き合うようになりました。

 ――挫折を感じることもありましたか?

 いっぱいあります。同年代でとてもお芝居が上手い人を見た時は悔しいですし、「自分はなんてダメなんだ」と思うこともあります 。でも、幸いなことに僕の周りにはアドバイスをくださる先輩や仲間がたくさんいて、周りに助けられながら一つずつ壁を乗り越えることができています。

 ――今回の『ブルーロック』という大作を経て、役者としての価値観に変化はありましたか?

 映像のお芝居に対して、より深い興味と関心が湧きました。もっと勉強したい、いろんな作品を経験して自分を高めたいというモチベーションがすごく高まりました。臆することなく、どんどん新しいことに挑戦していきたいです。

 ――最後に、読者の皆様へメッセージをお願いします。

 将来的には「富本惣昭が出ている作品なら安心だ」「富本が出演しているから観てみよう」と思っていただけるような、信頼される役者になりたいと思っています。この実写映画『ブルーロック』も、スタッフ・キャスト全員が並々ならぬ熱量で作り上げた作品です。ぜひ劇場で、僕たちの“エゴ”を感じてください!

 (おわり)

 ヘアメイク:八十島優吾
 スタイリスト:村松栞奈

 【映画情報】

 映画『ブルーロック』(公開中)

 高橋文哉
 櫻井海音 高橋恭平 綱 啓永 野村康太 / K(&TEAM)
 青木 柚 西垣 匠 富本惣昭
 倉 悠貴 東 啓介 / 畑 芽育
 窪田正孝

 原作:金城宗幸・ノ村優介『ブルーロック』(講談社「週刊少年マガジン」連載)

 主題歌:Ado「モンストロ」(Capitol Records / ユニバーサル ミュージック)
 
 制作:CREDEUS
 監督:瀧 悠輔
 脚本:鎌田哲生
 音楽:MON/KU 出羽良彰 西木康智 KAY Nic Gitter
 サッカー監修:松井大輔
 製作:松橋真三 鎌倉ひなみ
 プロデューサー:松橋真三 千田幸子 高田良平 山崎慶彦
 撮影:佐光 朗(J.S.C)
 美術:相馬直樹
 照明:木村匡博
 録音:湯脇房雄 アクション
 監督:雲雀大輔
 Bカメラ:松山潤之介
 美術デザイン:吉本幸人
 装飾:池田亮平
 編集:瀧田隆一
 VFXスーパーバイザー:白石哲也
 音楽プロデューサー:千田耕平
 スーパーヴァイジングサウンドエディター:勝俣まさとし
 カラリスト:山下哲司
 記録:井手希美
 衣装デザイン:宮本まさ江
 ヘアメイクディレクション:須田理恵
 ヘアメイク:荻野さおり
 キャスティング:緒方慶子
 アソシエイトプロデューサー:阿部憲司 石森聡太
 プロデューサー補:藤ヶ谷直緖
 宣伝プロデューサー:菊地智男 西尾朱音
 スケジュール:田中孝幸
 助監督:高杉考宏 関野宗紀
 制作担当:若林重武
 ラインプロデューサー:野口聖太朗
 製作:CK WORKS
 製作幹事:CREDEUS 講談社 
 配給:東宝 TOHO Japan Creative Works 1号 映適 26CK011 映倫 26032-A
©金城宗幸・ノ村優介/講談社 ©CK WORKS